小野田内科
愛知県豊橋市東岩田3-1-1
Tel0532-63-8822
対談
院長
医学博士 小野田嶺雄
ゲスト 三田 明
モットーは 「患者の立場での医療を」
三田 早速ですが、小野田内科さんは開業されてどのくらいですか。
小野田 まだ5ヶ月です。以前は、新城市民病院, 神経内科の勤務医でしたが、年齢的にもいつまでも勤務医というわけにもいかないので、このあたりで開業しようと…。豊橋市は人口が多く東三河の中心に当たるということと、もう一つは専門の神経内科というのが全国的にも少なく、この東三河にも常勤の神経内科があるのは豊川と私どもだけという状態ですので、神経内科を生かすためにもこの地をえらんだわけです。
三田 そういえば、神経内科というのは、あまり聞き慣れない感じがしますね。
小野田 医療関係の人や患者さんでも心身症、ノイローゼ、などの精神科、心療内科と混同される方が結構多いですからね。
三田 主にどういった病気があるんですか。
小野田 特に重要な病気にパーキンソン病というのがあります。症状は手足が震え、体が硬くなり動けなくなる――60代あたりからの年配の人に多い病気で、結果的に寝たきり状態になる難病です。しばしば手の震えを脳卒中と間違われて、もう治らないといわれるんですが、実際には薬と運動療法で非常によくなります。
神経というのは全身に分布していますので、頭の先から足の先まで調べてみないと分からないんで診察に大変時間がかかります。でもそのことが、脳卒中の予防、成人病の早期発見に繋がるんですよ。小さな兆候を見つけ早く手を打つことが大切ですね。その他、脳腫瘍の兆候を早く見つけて脳外科に送ったり、手足のしびれが首の骨の変形が原因と分かれば整形外科に手術をお願いしたりします。
三田 全身を調べると、いろいろな病気が関連しているのが分かるわけですね。
小野田 ですから全身的,或は精神も含めた「全人的医療」という形になると思うんですが、私は神経内科という専門を持ちながら,他の科のこともできる限り分かるように目指しています。
三田 なるほど。でも神経は全身分布の上細かいから診察も大変でしょう。
小野田 一般の先生の中には難しい、とっつきにくいという人が多いですね.例えば胃の場合だと、胃カメラで見れば潰瘍ができてることが目で確認でき、治療の結果もよくわかります。ところが神経というのは、頭の中で複雑なネットワークを作っているコンピュータですから、理解するのが難しいといわれています。しかし私ども専門家からみれば、コンピュータは複雑であるけれども整然としており、その端末である手や足を見れば、逆に中枢部のどこが障害されているのか分かりますので、そんなに難しくはないんです。例えば右拇指がしびれているという患者の場合、指の神経の走るところが分かっていますので、その走行にそって、肩や首のレントゲンを見たりCT, 脳波の検査などで確認していけば診断がつきます。もっといえば神経内科の場合、患者さんが診察室に入れば6〜7割は診断できますよ。
三田 神経の切れる原因というのは…。
小野田 多いのは圧迫ですね。例えば長く正座を続けると足がしびれてくることは誰でも経験することですが、これが神経の切れる前兆です。そのまま続けていると、末梢神経は切れて元に戻らなくなります。つまり足が折れ曲がって、神経が圧迫を受けて切れてしまうんです。その他、不自然な形で寝ていて首の神経が引っ張られて切れたり、糖尿病で足先の血液循環の悪さから切れたりとさまざまな原因がありますね。ただ神経が切れても見過ごされているケースが多いんです。しびれ=気のせい、痛み=湿布をしておけという具合にね。
三田 切れた場合は手術が必要なんですか。
小野田 いえ、薬やリハビリなどで治療を続けると、大多数は時間が経てば治っていきます。私どもでも首を引っ張ったり、極超短波や電気刺激を当てたり、ローラーでもんだりとリハビリ中心に治療を続けています。
三田 患者さんは近くの方が多いんですか。
小野田 多くは近辺の人で、奥三河や渥美半島などから1〜2時間かけて車や電車を使ってみえる患者さんもかなりあります。
三田 こちらのスタッフの方は何人ですか。
小野田 9人です。スタッフには常々、患者さんは自分の親や兄弟だと思って接するようにと。医者の考えを患者さんに教えるばかりでなく、患者さん側に立って私にも注文をつけ、お互い納得ずくで患者さんの健康を守るようにしていこうと言っています。
三田 最後に今後の夢をお聞かせください。
小野田 あまり大きな夢は持っていませんが、地域の人々が安心して頼れる医者になれればと思っています。
三田 今後共、患者サイドの医療に尽力されることを期待しております。
国際グラフ 1989,vol.7,no.74,p45